議会報告

令和2年 第1回定例会 予算特別委員会での賛成討論

3月16日(月)

くまき貞一 議員

くまき貞一議員
予算特別委員会での賛成討論

 公明党議員団を代表して、令和2年度北区一般会計予算並びに三特別会計予算案について、賛成の立場から討論します。
 現在、新型コロナウイルスの感染が猛威を振るい、区民の間に不安が広がるとともに、経済にも深刻な影響が見られつつあります。3月11日、世界保健機関(WHO)は、欧州や米国などでかなり早いスピードで感染が広がり、パンデミックとの認識を示しました。国内では新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が、3月13日に共産党を除く自民、公明両党に加え、立憲民主、国民民主、日本維新の会、社民各党などの賛成多数で可決、通過しました。ドナルド・トランプ米大統領は3月13日、国家非常事態を宣言しましたが、未知のウイルスは、人々の生命を脅かすだけでなく、世界経済をリーマン・ショック以来、最大の危機に追い込んでいます。政府・与党は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた追加経済対策として、現金給付や商品券など直接的な家計支援を実施する方向で検討に入りました。政府がリーマン・ショックを受けて2009年に実施した「定額給付金」では、1人当たり1万2000円(18歳以下などは2万円)を支給しました。政府・与党は「今回はリーマン・ショック以上の影響がある」との認識で一致しており、一律2万円以上の給付を検討しています。北区においても今こそ花川区長が先頭に立ち、区民の不安をしっかり受け止め、生活への影響にも配慮しつつ、新型コロナウイルス感染症という新たなリスクに対し的確な対応を行っていく必要があります。

 北区では、緩やかな景気回復や人口増加により特別区民税は、7年連続で増加しており基金への着実な積み立てなどにより、計画事業等の実現に向けた財政対応力を高めてきましたが、不合理な税制改正による法人住民税の交付税原資化のさらなる拡大や新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が懸念され、世界経済の先行きの不透明感も高まるなど、今後の区を取り巻く財政環境は、緊迫した状況が予測されます。ライフスタイルの加速度的な変化とともに、区民ニーズも多様化し、行政需要は多様化・拡大化しています。 自治体だけの力であらゆる公共サービスを維持し続けることは難しい状況です。区民や事業者等とも連携・協働するしくみがますます重要となっています。区を取り巻く財政環境を踏まえつつ、少子高齢化の進行や将来の人口減少への対応をはじめ、防災・減災対策、市街地再開発など本格化するまちづくりや公共施設等の更新、増大する行政需要に見合う歳入の確保や、将来の世代に負担を残さない健全な行財政運営を構築するために、より一層の経営改革への取組みが必要になっています。

 令和2年度の予算編成は、歴史的な転換点を迎え、喫緊の課題への対応と10年後の北区のあるべき将来を見据え、新たな基本計画の初年度を力強くスタートするとの特別な思いで取り組まれたと考えています。

 特に、これまで予算要望や本会議での質問で公明党議員団が求めてまいりました地震・風水害対策、高齢者の就労支援、受動喫煙防止の取組み、学童クラブ・保育園の定員拡大、学校給食費の保護者負担軽減、産後ケア事業の拡充、シティプロモーション推進などが計上されており、高く評価したいと思います。

 北区にとって、新庁舎建設、魅力ある公園の整備、王子、赤羽、十条の駅周辺まちづくり、多文化共生社会への取組み、少子高齢化対策などが今後も課題となり、そのための施策の推進への財源確保が大きな命題となっております。資源の有効活用、庁内の横断的な協議及び意識改革などは、機を逃さずに対応すべき課題であり、柔軟な発想での歳入確保策を期待致します。

 今回の予算特別委員会で申し上げました以下の課題、要望につきまして、実現に向けて努力を求めます。

一、新型コロナウイルスの影響による経済対策をはじめとする緊急対応策
二、「ひきこもり支援相談センター」を開設し、全庁的なニート、ひきこもり支援の拡充
三、障がい者自立支援生活援助の推進
四、多胎児家庭支援事業の早期開始
五、保育園待機児童解消と区立保育園の延長保育の実施
六、コミュニティ・タイムラインのモデル実施

 以上を改めて要望し、令和2年度北区一般会計予算案並びに三特別会計予算案に賛成致します。

 次に、「第23号議案 令和2年度東京都北区一般会計予算」及び「第24号議案 令和2年度東京都北区国民健康保険事業会計予算」の組み替えを求める動議に反対する立場から討論します。

 始めに消費税について言及しておきます。先月、財務省が国債や借入金などの残高合計した国の借金は、昨年末時点で過去最大1100兆円となり、国民1人当たり約896万円に上ります。従って政府は、経済再生と財政健全化の両立を図り、2025年度の基礎的財政収支プライマリーバランス黒字化と同時にGDP比での債務残高の安定的な引き下げを目指しています。

 一方、75歳以上の世代が生産年齢人口を上回る超高齢化社会いわゆる2040問題では、1人当たりの医療費や介護費は大幅に上昇し、将来の介護、医療、年金の社会保障給付の見通しは、2018年で約123兆円、2025年で1.4倍の約140兆円、2040年は、そこから1.7倍の約190兆円になります。

 こうした背景から社会保障の安定財源の確保などを図るため、昨年10月消費税率の引き上げを実施し、国全体としての使途は今回の増税分計5.7兆円のうち、国の借金の膨張抑制に2.9兆円、また幼児教育無償化、高等教育一部無償化や保育士、介護職員の処遇改善に1.7兆円、低所得の介護保険料のさらなる軽減強化や年金生活者支援給付金の支給などの生活支援に1.1兆円が充てられます。

 地方消費税交付金は幼児教育の無償化や保育所の待機児童対策また低所得者の国保、介護保険料の負担軽減など社会保障4経費を含む社会保障施策に活用されます。共産党が主張している通り、もし消費税10%への引き上げがなければ、この社会保障施策分の財源はどこに求めるのでしょうか。

 共産党は、消費税率10%をめぐって「消費税は31年の歴史によってその害悪が天下に明らかになった」と消費税の廃止を主張し、同税廃止の実現に向けた財源確保のため、大企業や富裕層に対する税率引き上げのほか、「為替取引税」や「富裕税」の創設を訴え、また年金をめぐる議論では、「減らない年金」を実現させると主張し、そのために「マクロ経済スライド」廃止を訴えていますが、現実的にそんなことが簡単に出来るのかどうか疑問を感じているのは私だけではないと思います。また、共産党ほど消費税への対応で発言がブレる政党はありません。消費税導入時には「断固廃止」を主張していましたが、選挙のたびに「引き下げ」とか「増税反対」とか二転三転、当初の「廃止」はどこかに消えて現在は5%への減税を求めています。いつから消費税を認める立場になったのでしょうか。

 それでは、予算組み替え動議について反対の理由を述べていきます。

 第一に、本当に予算組み替え動議が必要なのかという問題です。予算を部分的に修正するには予算修正動議、議会に提出している予算を撤回し、つくり直した上で改めて議会に提出しなければならないのが予算組み替え動議です。令和2年度の予算案は地域のきずなづくりや子育てファミリー層・若年層の定住化を最重要課題に位置付け、安全・安心の確保や暮らしに寄りそった生活基盤の一層の確立に努め、区民の皆さまが、幸せを実感し、いきいきと暮らせる魅力あふれる北区を目指し作成されたと考えます。風・水害対策から高齢者対策、障がい者自立支援、子育て支援、まちづくり、シティプロモーション推進まで幅広く新規事業・レベルアップ事業を盛り込んだ予算であると高く評価しています。

 予算組み替え動議では、財源を財政調整基金に求めていますが、財政調整基金は一般財政の収入の変動に備えて積み立てており、その年度の月々の歳出が歳入よりも多い月は取り崩して活用しています。今後の予算編成において、財源不足が生じた場合には、機敏に活用するもので、将来や危機の備えであり、恒久財源ではありません。令和2年度予算案でも約67億円の財政調整基金を繰り入れており、これ以上取り崩すことを認めることは出来ません。

 第二に、国民健康保険料の子どもの均等割りを5割に軽減する件です。厚労省は「個々の世帯の事情等を踏まえて判断するものであって、所得金額や子どもの人数等といった画一的な基準で減免することは適当ではない」との見解を示しています。また子育て支援は社会全体で取り組むことが必要だと考えるが、軽減した財源は他の被保険者が負担(または、国保に加入していない一般区民からいただいた区税(一般会計からの繰入金)によって負担)することになり、負担の公平性を保つ観点から慎重な検討が必要であると考えます。さらに特別区は、統一保険料方式を採用し、同一所得、同一世帯構成であれば同じ保険料となるように運用しており、北区だけが逸脱することは適切ではないと考えます。

 子どもの均等割りの減額については、既に特別区長会が国及び東京都に対して要望しており、国の動向を注視していく必要があります。

 最後に、日本共産党北区議員団の予算組み替え動議については、区民のためと言いながら実は党勢拡大のためだということであります。その理由は一昨年、わが党が指摘したように、北区中に張り出された、当時の日本共産党のポスターに「四回の予算組み替え提案で実現しました」と書かれ、項目として入学準備金前倒し支給ほか三項目が並んでおりました。そのことについて、わが党が本会議で花川区長に確認したところ、区長は「予算組み替え提案で実現したものはない」とポスターの内容が「真っ赤なウソ」であることを明らかにしました。その後も、ポスターは張り続けられ、そのポスターには「区民の暮らしのため」とも書かれていますが、捏造した実績を流し続けないことが、最も「区民の暮らしのため」になると思いますが、皆さまいかかでしょうか。

 また、チラシにおいても、その後も「組み替え提案で実現しました」と同様に地域に配布していたこともまた、区が認めていないことを、喧伝することは組み替え動議を党勢拡大のために利用している事実であると考えますが皆さまいかがでしょうか。

 以上のことから「第23号議案 令和2年度東京都北区一般会計予算」及び「第24号議案 令和2年度東京都北区国民健康保険事業会計予算」の組み替えを求める動議に反対を表明します。

 以上で公明党議員団を代表しての討論を終わります。

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